読売新聞の記事です。先ずはお読み下さい。

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特養で比女性を不正雇用、日本人装い欠員穴埋め介護報酬を過大請求


 東京都文京区が開設している特別養護老人ホーム「くすのきの郷(さと)」(文京区大塚)が、観光ビザで来日したフィリピン人女性を働かせて、介護保険法の基準を満たしているように装い、介護報酬を過大請求していたことが27日わかった。

 同施設は社会福祉法人「同胞互助会」(昭島市)が指定管理者として運営し、調布市内のNPO法人からフィリピン人の派遣を受けていたという。同胞互助会は、NPO法人に対しフィリピン人の稼働時間に応じた金額を「賛助会費」として支払っていた。

 文京区は26日、過大請求の経緯を都福祉保健局に報告。都は介護保険法に基づいて同施設へ立ち入り検査することを検討している。

 同区高齢者福祉課によると、同施設では夜間は5人が勤務しなければならない。2002年4月ごろから実際には人数が足りていないのに、人数を満たしているように都や区に届け出、欠員分はフィリピン人女性が埋めていたが、書類上は日本人が働いているように装っていた。フィリピン人女性の勤務は今年2月末まで続き、5年間で約100人に上るという。

 介護保険法では、特別養護老人ホームで、人員が基準に達していない場合は介護報酬を3%減額されるが、同胞互助会では、正規の介護報酬を請求していた。

 フィリピン人女性はいずれも観光ビザで来日しているため就労資格がなく、同胞互助会との雇用契約も結んでいなかったという。同胞互助会では「ボランティア活動だった」としているが、介護報酬などからフィリピン人の賃金に相当する額をNPO法人側に支払っていたことを認めている。

 不正は今年2月、施設の管理者が区に申し出て判明したといい、管理者は「人員確保が難しく、名義を偽ってフィリピン人を使っていた」などと釈明したという。区では「申し出があるまで気づかなかった」としている。同胞互助会は「事実関係を調査中」、NPO法人は「ボランティアなので問題はない」と話している。


(2007年4月27日 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20070427ik0d.htm

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4月28日の産経新聞の記事によると、このNPOは”日本フィリピンボランティア協会”(調布市)です。
実はここは私も知っていまして、ミンダナオ島のダバオに自営の大学を持ち、日本向けの介護士養成コースを持っています。
電話とメールでお話ししたこともありますが、至って好感度の高い対応でした。
一部の頭の固い理想主義的な外国人介護士ではなく、現実に即した対応をしているところとの認識でいました。
事件の詳細は不明ですが、新聞記事によればこのNPOよりも、フィリピン人介護士を使った(雇用ではなくボランティア)文京区の特別養護老人ホームの介護報酬請求に大きな問題(不正申告)がありそうです。


私にとって記事の中で特に気になったのが、5年間にわたり問題無くフィリピン人介護士が勤まったことです。むしろその仕事ぶりが良かったとのことです。
フィリピン人介護士の質を担保したのではないでしょうか。


明らかに”絵にかいた餅”状態の日本側の受け入れ条件に業を煮やした送り出し側と、人手不足の受け入れ側との確信犯でしょう。
日本でのビザの資格上の問題(NPO側)と、手続き上のミスか承知でやったのか、介護報酬に爪を伸ばさなければ良かったのにね(特養側)。
この件がキッカケになって、何かの進展があれば正に僥倖ですね。


介護福祉士ではなく、日本在住資格を有するフィリピン女性の中に、ヘルパー2級の資格から始めようとする気運もあります。
政府任せではなく、自分たちで与えられた条件の中でガンバロウとする人達です。
大きな声で”ボン・ボヤージュ”みんなで応援しませんか。