竹島問題 今そこにある危機

今そこにある危機

韓国の韓昇洙首相が島根県竹島(韓国名・独島)に上陸、また韓国軍が「独島防衛」軍事演習を実施。
それらの韓国国内向けアピールを狙った韓国政府としての行動。

経済手腕を買われ、大統領就任前から現実主義者として好感を持って迎えられた、李明博韓国大統領の支持率の急降下。

アメリカ地名委員会(BGN)が独島の領有権表記を竹島に変更したことについて、韓国国民の鬱憤。

そして前述した、数多くの感情的な韓国国民の脅迫的な示威行為。

韓国のお家芸とも呼べる、世界に報じられた韓国のこっけいなまでの、キャンドル集会。

どう揶揄したところで、韓国国内が竹島問題で我々日本人の予想以上に熱いことは事実だ。

さんざん書いたが、一般国民にとって領土問題は感情論だ。
感情論である以上、感覚的だが絶対正義が自分たちにあるのだから、メクラ蛇状態である。
私はこれを最も恐れている。

なぜ恐れるか?

フォークランド紛争の亜流版にして、その再来に思えてならない。

                                                                                    • -

フォークランド紛争とは、イギリスとアルゼンチンの間に起きた、1982年3月19日から72日間の戦争。日本では何故か紛争と呼んでいる。

フォークランド諸島は南アメリカ大陸のほぼ南端、アルゼンチン本土から約500km沖合の大西洋に位置している。

1592年にイギリス人のジョン・デーヴィスが最初に発見したという説もあり、イギリスはこの出来事を根拠として領有の正当性を主張している。

アルゼンチンは領有の根拠として、トルデシリャス条約でのスペインの権益を独立後受け継いだと主張しているが、これは少なくともイギリス側よりは領有の正当性が高いものである。
一見これといった価値がないこの南大西洋の島を、アルゼンチンは最初直接交渉で、第二次世界大戦後は国連を通じた交渉で穏健策をとり、1960年代以降にはイギリスの維持能力を超えていたこの諸島に様々な行政、医療サービスを行いながら、イギリスに対してフォークランド諸島の返還を求め続けていた。

これに対してイギリスも条件付ながら返還を認めるとしてきたが、アルゼンチンはあくまで無条件返還を求めたため交渉は平行線を辿り難航していた。

当時アルゼンチンは軍部による20年以上にも及ぶ政治の混乱が天文学的なインフレと失業を招き、国民生活を深刻な状況に陥れていた。

そして経済状況が一向に改善しないにもかかわらず、政争に明け暮れる政権に対して民衆の不満はいよいよ頂点に達しようとしていた。

軍事政権は、当初よりしばしばフォークランド諸島に対する軍事行動をちらつかせてはいたものの、実際に行動を起こすまでには至らなかった。だが、かかる状況下で軍事政権を引き継いだレオポルド・ガルチェリ大統領は、民衆の不満をそらすために小さな紛争を選んだ。

既にアルゼンチンの活動家が上陸して主権を宣言するなどの事件も起きており、フォークランド諸島問題を煽ることで、国内の反体制的な不満の矛先を逸らせようとしたのだ。

同様にイギリスも長引く不況や硬直した政治、社会制度による深刻な財政難に悩まされていた。
大戦後に手放さずに済んだ海外領土の一つであるフォークランド諸島は英国本国からあまり面倒を見られずに、アルゼンチンからの医療などにおける様々な援助のおかげでどうにか維持されていたような状態だった。にもかかわらずイギリスにとってフォークランド諸島は戦略拠点として拘った。

民衆の不満をそらすためにガルチェリ政権が問題をクローズアップさせたことで、アルゼンチンではフォークランド諸島問題が過熱ぎみになり、民衆の間では政府がやらないなら義勇軍を組織してフォークランド諸島を奪還しようという動きにまで発展した。

この様な動きに対して、アルゼンチン政府は形だけの沈静化へのコメントを出すものの、結局、アルゼンチンの陸軍4000名がフォークランド諸島に上陸、同島を制圧したことで武力紛争化した。

これに対し、サッチャー首相は直ちにアルゼンチンとの国交断絶を通告した。そして航空母艦2隻を中核とする第一陣が出撃し、アルゼンチン陸軍の軍備が手薄だったこともあり即日奪還した。
その後アルゼンチン軍が正式に降伏。戦闘は終結した。

                                      • -

「韓国ではデモが一つの生活様式」(フィナンシャル・タイムズ)、
「街頭デモは韓国人が大好きなスポーツ」(ウォールストリート・ジャーナル・アジア版)
あらゆる問題をデモによって解決しようとする韓国の風土を風刺する記事も少なくない。

世界各国が景気後退の波を乗り切ろうと国力を投入しているこの時期に、国中が2カ月以上も牛肉問題でマヒした大韓民国
世界の目には「理解できない国」として受け取られている。

「キャンドル集会が繰り返される国」というイメージを1日も早く変えられなければ、国の信用が急激に低下し、大韓民国が世界経済の片隅に追いやられ、その鬱憤の捌け口として竹島問題を恣意的に韓国政府が捉えるのでは、若しくは暴徒と化した韓国国民に引きずられるように、泥沼に突入するのではと、私は危惧している。