私は面談のお誘いがあった場合には、時間の許す限り参加している。

ましてや初めてお会いする人の場合は尚更である。


自慢になるはずもないが私は人を見る目が無いらしい。感性(嗜好)で見てしまうので、後になって大きく外れていたことに気が付く時が往々にしてある。


仕事上でもそうである。私は惚れっぽいのである。人間好きなので直ぐに相手が好きになってしまい、好きになれば痘痕も笑窪で判断を誤るのだろう。そのためよく騙される。(ただの馬鹿かもしれない。)


きっと死ぬまで直らないのだろうが、人との出会いが人生の最高のドラマと思っているのだから、これこそわが人生なのだろう。こんなオプテェミズムとお喋りが私の特徴でもあるのだからと諦観している。


そのせいでもあろう、無料相談でもついつい熱が入ってしまう。
人様の痛みが、自分の痛みになってしまうのである。


過日のことである、26回目の結婚記念日で女房と外食の約束もしていたので嫌だったのだが、どうしても急ぎで会いたいとお客様から電話が来たので、時間制限を設けさせて頂いて面談した。


依頼人は私の知人で、彼の友人のご両親の介護計画の相談であった。かなり緊迫していたのだ。80歳台前半の脳梗塞の後遺症が残る父親と、健康だが70歳代後半の母親の特別養護老人ホームへの入所相談であった。しかも彼の友人は事業の失敗で破産寸前であった。


直ぐに友人の内科医に連絡を取り、横浜市内のホームに空き部屋(ベッド)のあるところを聞きだし、明日の朝一番での手配を依頼した。ホームの都合もあり空きがあるから直ぐに入れるかどうかは今後の交渉に掛かるのだが、先ずは空きがるか否かが最優先事項である。


私にも80歳代前半の母親がおり、私の自宅から100mと離れていないケァー付老人専用マンションに驚くほどの低額で入所させて頂いているので、介護相談はついつい熱が入ってしまう。


日本国の高度成長時代を築いてきた現在のお年寄りの環境は、決して幸せなものばかりではない。ご両親が今は健在であっても、今直ぐ、そこに有る、問題であるし、20年後は自分自身の問題でもある。


“備えよ常に”ボーイスカウトの時に叩き込まれた精神でもある。